他人事ではない!?ビジネス・インテリジェンスツール導入の失敗事例


せっかくビジネス・インテリジェンスのシステムを導入しても、上手くその効果を引き出せない、現場が使いこなせず結局は使われないシステムになってしまう、などといった失敗事例は多いものです。この記事ではビジネス・インテリジェンスの導入を検討されている企業様が、導入を成功させるために押さえておきたいポイントについて、失敗事例をもとにお伝えしていきたいと思います。

1. 失敗事例1:導入前に分析対象を明確に定義しなかった


ビジネス・インテリジェンスの導入にあたっては、特定の部門での導入効果を高めるのではなく、まずは全社レベルの経営戦略をもとにしたKPIを前提として持っておくことが大切です。

そこから各事業部門が、全社のKPIを達成するために必要な自部門のKPIを設定していくことになります。

この考え方をもとにビジネス・インテリジェンスを活用していくときに大切なポイントは、全社・各部門それぞれのKPI達成に向けた進捗状況を、どのようなデータを用いてウォッチしていくかを明確に定義しておくことです。

どのデータを見て達成状況を判断するか、そして何をもって達成できたと判断するか、進捗が思わしくないときに原因分析としてどのような数値を確認するか、このあたりがあらかじめ明確にイメージできていないと、導入してしまってから必要なデータが足りていなかったことに気づいても、有効な意思決定に使えないシステムになりかねません。

そうならないために、ユーザ部の現場担当者は業務改善のためにどのような分析が必要かを明確にイメージし、経営陣は経営戦略に活かすためにどんなデータを集めてどんな切り口で分析していくかを具体的にイメージし、さらに両者の密なコミュニケーションによって全体最適を図っていくことが大切です。

2. 失敗事例2:社員教育を行わなかった


他の記事でも書いていることですが、ビジネス・インテリジェンスを有効活用するためには、データベースに関する最低限の知識や適切にデータを分析するためのリテラシーを高めていくことが欠かせません。

ビジネス・インテリジェンスのパッケージの中には高度な機能を持つものもあるため、それらを使いこなすためには、導入に際して事前にトレーニングの場を設けてITベンダーに主催してもらい、ユーザとなる社員を対象に受講させるなどの対応も必要になるでしょう。

このような活動を導入時、あるいは導入後も継続的に実施することによって、ユーザとしての社員のリテラシーは高まっていきます。

ビジネス・インテリジェンスは専門家でなくても直感的に操作できるユーザインターフェイスを持っていますので、任せておけばなんとか使えるようになると思われがちですが、しっかり教育を受けた人が扱うのと、そうでないのとでは活用レベルが雲泥の差になってきます。

教育を受けていないと高度な機能も使いこなせず、我流でなんとか覚えたレポートだけを使うなどということになり、システムの投資コストにも見合わなくなってきます。

せっかくの機能を有効に使いこなすためにも、適切な意思決定を行うためにも、社員教育に投資することは不可欠なのです。

3.失敗事例3:改善施策を実行する体制をあらかじめ構築していなかった


ビジネス・インテリジェンスの導入で得られる効果の1つは、経営や現場業務における意思決定を行うために必要な指標が明確にあらわされることにあります。しかし、導入の目的は指標を明確にすることではなく、結果を分析することによってそこから導出される経営における課題、現場業務における課題を可視化し、その課題を解決していくことにあります。

ところが、ビジネス・インテリジェンス導入の早い段階で、課題があぶり出されたときに施策を練ってそれを実行に移すという前提で体制を作っておかなかったために、いざ導入して運用サイクルを回したときに、課題の解決に向けた施策の検討と実行に向けた動きが充分にとれない場合があります。

せっかく高いコストをかけてビジネス・インテリジェンスを導入しても、肝心の課題解決に向けた動きがとれないとなると、いくら有用なデータを得られても意味のないものになってしまいます。

ビジネス・インテリジェンスの導入にあたっては、システムに求める適切な要件の洗い出しや充実した機能の使いこなしも大切ですが、運用段階に入ったときの体制や運用プロセスについても事前に充分な検討をしておくこともまた大切なことです。

4.失敗事例4:要件定義をIT部に任せすぎた


ビジネス・インテリジェンスに限らず、システム導入において要求を導出することはユーザ部が主導となって進めていくものであって、IT部はあくまで専門家としてユーザを補佐するという立場です。

ところが、ユーザ部は本来の業務が多忙であることがほとんどで、その多忙な業務をこなしながらシステム導入プロジェクトを進めていくことが求められる、ということが実情であったりします。

このような状況から、ユーザ部はどうしてもIT部に要件定義を委ねてしまいがちです。

現在の業務に関する資料は提供するから、それをIT部で分析して導入するシステムの要件としてまとめて欲しい、といったことはよく行われます。システムの導入スケジュールが決算時期と重なったりするとなおさらです。

その結果、ふたを開けてみるとユーザ部の意図とは全く違った実装がなされることになり、ユーザ部にとって使いづらいシステムになってしまうのです。

また、意外と見落とされがちなのがマスタデータの統合です。

たとえば、自社で取り扱っている商品をカテゴライズするために商品区分という項目で管理しているとします。各部門でそれぞれに業務システムを導入して利用している場合など、同じように商品区分という項目を持っていても、部門間で微妙に意味合いや内容が違っているというのはよくあることです。

ビジネス・インテリジェンスは各部門用の業務システムとは違い、全社最適を図っていくことが重要なので、各部門でずれているこのようなマスタ項目の定義を合わせておかないと、非常に使いづらいシステムになってしまいます。

マスタのずれに気づくのはテストフェーズなど、本番導入に近いタイミングになりますので、その時点で問題にしてもどうすることもできず、とりあえずそのまま発進ということになってしまいます。

したがって、システムの要件定義の段階で、ユーザ部が主導となって(IT部の号令の下でも構いませんが)マスタデータの部門間でのずれを確認し、統合を図っておくことが大切です。

5.最後に


ビジネス・インテリジェンスシステムの導入における失敗事例をまとめました。適切に導入が出来れば、システムそのものだけでなく、企業風土、業績に至るまで、効果を見込むことが出来ます。導入時には是非本記事をご参考頂き、プロジェクトを成功頂きたいと考えます。


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