IT部から見た「失敗しないセルフサービスBI導入」に必要な5つのポイント


IT部主導でセルフサービスBIを導入するとき、失敗しないために気をつけておきたいことがいくつかあります。この記事では、セルフサービスBIを導入するにあたってどのような点に気をつけて進めていくことが必要かについてお伝えしていきたいと思います。

 

1. セキュリティの担保


まず最初にセキュリティです。セキュリティが大切なのはセルフサービスBIに限ったことではありませんが、特にユーザ部が自由にデータを閲覧し、取り出して加工できてしまうセルフサービスBIだからこそ、誰がどこまでできていいのかについては明確にして適切な権限の設定を行うことが大切です。

例えばデータベースへの接続やデータの投入などはAdministrator権限を持つIT部のスタッフだけが可能とする、ユーザ部の業務担当者にはダッシュボードの閲覧のみを可能とする、などということです。

また、企業の機密情報や個人情報などが含まれたデータは誰もが自由に閲覧したり取り出したりさせるのも良くはないでしょうし、意思決定に必要なデータは部門や立場によって変わるので、すべての人に同じ情報を公開するのも考えものです。

このようなことも加味して、適切なポリシーを策定し、情報セキュリティを担保してゆかなくてはなりません。

2. ガバナンスの担保


セキュリティのところでお伝えしたことともつながるのですが、ユーザが自由にチャートを作成できる機能を持つBIパッケージでは特に、ガバナンスの担保を検討しておくことが大切です。

ビジネスインテリジェンスにおいては、適切な情報をもとに、適切な意思決定を下すことが求められます。そのためには、作成されたチャートが同じ視点、同じ指標、同じルールにしたがって作成されたものであることが必要です。

ユーザ担当者がそれぞれ独自の視点や指標をもとに独自のやり方で集計し、それをそれぞれの担当者がセルフサービスBIのダッシュボードに自由に追加してしまうことになっては信頼性の高いデータが蓄積できませんし、当然ながら適切な意思決定に寄与することも危うくなってきます。

セルフサービスBIに投入するデータは必ず同じ視点・指標をもとに、同じルールにしたがって作成されるよう、ガバナンスを効かせて運用を行うことが極めて重要です。

 

3.アジリティの担保


セルフサービスBIの導入にあたってはアジリティを意識しておくのも大切なことです。アジリティとは「敏捷性」ということで、IT用語でいえば企業の経営方針の変更や、時代のニーズの変化に対して柔軟かつスピーディーに対応できるシステムの性質ということになります。

BIで参照するデータベースを設計する際によくやってしまいがちなのは、業務用システムと同じようにユーザ要件をこと細かに取り入れてしまい、複雑な業務ロジックを実装してしまったり、いびつなデータ構造になってしまったりすることです。

これをしてしまうと、業務内容の見直しが入っただけでシステムの変更を余儀なくされますし、データ構造がいびつになると使い勝手も悪いシステムになってしまいます。

さらに、時代のニーズが変化すると当然ながら業務内容は見直されますし、経営方針も変更されることになっていくのですが、ユーザ要件をきめ細かに反映したガチガチのシステムだと柔軟かつスピーディーにそれらのニーズに対応することができなくなってしまいます。

アジリティを担保するために意識しておきたいのはやはり、ユーザの要件をすべて実現しようと考えるのではなく、システムに取り込むべきことと、取り込まずに運用でカバーしてもらうこととの線引きをしっかりして、適切にユーザ要件を切り落とすということでしょう。もちろん、BIの選定においても、アジリティを担保したい場合には、セルフサービスBIが基準となるでしょう。

4.ユーザー部署への教育


 セルフサービスBIを正しく利用していくためには、ITの専門家とまではいかなくても、最低限理解しておいた方が良いデータベースの知識があります。知って利用するのと知らずに利用するのとでは意思決定の質にも差が出てくるからです。

IT部のスタッフであれば当り前に知っている、たとえばテーブル、キー、カラム、インデックスなどという言葉の意味や使い方も、ユーザ部の担当者は知識として持っていない人が多いと言えるでしょう。

そのようなユーザ部に対してデータベースの基礎知識を理解してもらえるよう啓蒙活動を実施し、ユーザ部のITリテラシーを底上げしておくことも、セルフサービスBIの導入を成功させるために必要不可欠なプロセスです。

定期的な振り返り

5.IT部の業務知識向上


ユーザ部への教育とともに、IT部がユーザ部の業務を深く理解しておくことも大切です。セルフサービスBIで参照するデータベースを構築するのはIT部が主導となりますので、正しく業務を理解して適切なデータベースの構造を設計することが、セルフサービスBIの使い勝手を決めることになります。

また、アジリティを担保するためにデータ構造をいびつにしない、複雑な業務ロジックを盛り込まないということを前述しました。これを実現するためにはユーザ部の要件を適切に切り落とすことが必要だと述べましたが、そのためには当然ながらIT部のスタッフがユーザ部の業務内容を熟知していなければなりません。

業務知識が乏しいと、ユーザ部の要件をシステムに実装する上での妥当性の検証ができませんので、結果的にデータベースの構造をいびつにしてしまうということが起こります。

また、部門や立場(マネジメント層、部門長、業務担当者など)によって意思決定の内容は違いますし、意思決定の内容が違えば参照すべき情報も変わってきます。そのため、IT部では部門や立場ごとにどのような意思決定をするのか、意思決定のために求められる情報とはどのようなものか、について正しく整理しておくことが必要であり、そのためにも業務知識の向上は欠かせないのです。

 

6.最後に


セルフサービスBIは、ビジネスユーザー部門がIT部管轄のデータベースを直接閲覧するクエリを作成する、という他に例のない、ツールです。IT部の方の中にも、若干抵抗のある方もいらっしゃるかも知れません。しかしながら、ビジネスで必要な指標が動的に変わっていく中で、スピーディーに意思決定を行っていくためには必要不可欠なツールであり、時代の流れとも言えます。是非導入プロジェクトは成功して頂きたいと思います。

 


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